セブシティ(フィリピン)- WORLD LIGHTING DISCOVERY

日本から近い南国のリゾート地・セブ島

セブ島と言えば、南国リゾートのひとつとして日本人にも聞き覚えのある有名な観光地です。

セブシティは人口約90万人、マニラ、ダバオに続いてフィリピンで3番目に大きな都市です。周辺の都市群を合わせたメトロ・セブは人口230万人以上と、メトロ・マニラに続くフィリピン第2の経済地域となっています。

観光業が盛んで、ビーチリゾート、ダイビング、歴史のある教会や遺跡なども各地に点在しており、欧米各国や韓国、日本から多くの観光客が訪れています。元々はイスラム教が主流だったフィリピンですが、16世紀にスペインの植民地となった際に多くの人がキリスト教に改宗し、今でも地名や固有名詞の中にスペインの言葉があちこちに残っています。治安は他の都市に比べると悪くなく(とは言っても日本の安全とは違いますが)、英語が通じるということもあって、海外からの工業投資や観光投資が大きく進んでおり、地価も大きく上がっています。

最近は、英語のスピーキング力を伸ばすためにセブ島に語学留学する日本人が増えています。私もヨーロッパへの大学院進学を目指し、IELTSのスコアを取得するために2011年から数回に分けて計半年程留学していました。一口にセブ島と言っても広いのですが、今回は中心地であるセブシティに焦点を当ててみたいと思います。

アヤラモール周辺の街並

 

SMモールのエントランスホール

私が滞在していたマボロエリア周辺には、アヤラモールやSMモールといったショッピングモールがあり、いつもたくさんの人で賑わっています。モールを訪れる人は外国人か、現地の人は経済的に恵まれた人がほとんどで、売っている商品の価格帯も、フィリピン人の平均月収2万ペソ(約4万円)から考えると相当高いです。マクドナルドのビッグマックセットが200ペソくらいなので、日本人の月収20万円として例として比率を考えると、ビッグマックセットに2000円(!)くらい払っているのと同じ感覚です。

客層を反映してか、これらのモールは、日本やシンガポールのそれとあまり変わらない雰囲気で、電球色の間接照明やダウンライトを中心に構成されていました。飲食店はBARのような演色性度外視のネオンを使ったカラーファサード照明が多かったのが印象的で、白熱灯やハロゲンランプというより、当時は蛍光ランプが多かったように思います。

青色ネオンの店舗ファサード照明

 

比較的新しい店舗は十分に明るい印象
昼は緑みがかった自然光が入るアヤラモール内

 

夜のアヤラモール内

 

増築部分はLED照明の採用が進む

アヤラモールは、1994年に建設されており、やや年季が感じられます。共用部では自然光が取り込まれているものの、透過素材のあまり質が良くないのか全体的に緑みがかって見えていました。セブではモールに限らず、古い建物ではこういった緑みがかった透過光をよく目にします。夜間は、照明こそ点灯しますが、夜18時を過ぎるころには一部のスーパーや飲食店を除いて閉店し、従業員も一斉に帰宅するので閑散とします。既存のエリアは蛍光ランプや放電灯がメインですが、2013年頃から進む増築エリアではLEDの採用も進んでいました。



着実に進む東南アジアのLED化

フィリピンは経済発展が著しく、街中にはLED企業の巨大な看板広告なども多くみられ、次々と新しく建設されている建物では急速にLEDの普及が進んでいます。モール内のDIYショップにあったLEDランプや照明器具を見ると、PHILIPSやGE、フィリピン国内メーカーのものが多く並んでいました。日本のLEDランプは一般的に寿命40,000時間ですが、こちらは15,000時間程度。一応、10年程度持続するということになっています。その代わり、ひとつ400円程度と低価格です。日本では電球色2700Kと昼白色5000Kが主流ですが、こちらではやや白っぽい電球色3000Kと、さらに青みが強い昼光色6000Kが多く使われているようです。

FIREFLYの電球色のLEDランプをひとつ買って点灯してみましたが、光のムラも少なく、色みも綺麗で、思った以上に質は悪くありません。簡単なテーブルランプにして、フィリピン人の語学学校の先生にあげたのですが、よくよく話を聞いてみると、家で使っている照明はほとんど白い光で、温かい電球色を使うことはほとんどないそう。色々説明すると「そんなこと考えたこともなかった。電球色の方が落ち着くね。」と喜んで受け取ってくれました。


混沌の中に満ち溢れるエネルギッシュな白い光

サントニーニョ教会の祭壇

 

市内でも蛍光ランプやLEDの青白い光が目立ちます。有名な観光地のサントニーニョ教会の祭壇は、でも白々しい蛍光灯が使われていました。ホテルのベッド横のスタンドライトの光も白いことが多いです。雰囲気が台無し(涙)また、ローカルな屋台でもたくさんの白い蛍光ランプが並び、夜の街に賑わいをもたらしていました。

マンゴースクエアなどの夜の街に出れば、それらに加えてバーやクラブのネオンサインが煌々と外を照らし、金と欲望が渦巻く、ギラギラしたカオスな一面を見ることも出来ます。

これらフィリピン・セブシティの夜を彩る光は、決して美しくまとまっているとは言えませんが、混沌の中にある発展のエネルギッシュさと、ちょっと危険だけど、何かワクワクさせてくれるようなものでした。フィリピンが持つ光の文化のひとつと言えるかもしれません。

地元で人気のローカルBBQ屋台

 

外食を楽しむ地元の人々